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http://m.newspim.com/news/view/20210325000129
「ファントム」チョン·ドンソクの声に代表される総合芸術の極致
ミュージカル「ファントム」がバレエ、オペラ、ミュージカルが融合した舞台上の総合芸術の極地を披露する。 声楽をベースにすべてのジャンルを自由に行き来する俳優チョン·ドンソクの声がこれを代表する。
現在「ファントム」の4回目のシーズン公演がシャルロッテシアターで行われている。 2018年以来3年ぶりに戻ってきたこの舞台に韓国トップクラスの俳優やソプラノ、バレエアーティストが一堂に会した。 ファントム役のパク·ウンテ、カイ、チョン·ドンソク、キュヒョン、クリスティーン·ダエ役のキム·ソヒョン、イム·ソンヘ、イ·ジヘ、キム·スをはじめ、有名バレリーナのキム·ジュウォン、ファン·ヘミン、チェ·イェウォンらが世界が崩れたこの瞬間、音楽とダンスで皆を慰める。
「ファントム」はガストン·ルルーの小説「オペラ座の怪人」を原作にパリのオペラハウス地下の幽霊の秘密のロマンスを描いた。 同名の別のミュージカルとは少し違うストーリー、別のナンバー、他のキャラクターが特徴だ。 醜い顔で地下に隠れて暮らしていたエリック(チョン·ドンソク)は、田舎から来た少女クリスティーヌ·ダエ(キム·ス)の声に惚れ、彼女を舞台に立たせる。 次第にファントムに惹かれていったクリスティーンは、顔を見せてくれと頼み、エリックが仮面を脱いだところ驚いて逃げる。
チョン·ドンソクは深い傷と暗いカリスマのファントム、クリスティーンの前で不器用な男エリックを同時に表現する。 ファントムの登場から彼の深く豊かな声楽トーンの声が劇場を埋め尽くす。 マエストロとしてレッスンをする時は繊細で澄んだ音、また華麗な技巧と深い感情を声と手の演技に盛り込んで表現する。 特に、クリスティーンに向かう心に気づき、彼女もそうかもしれないという可能性を確認する時、あらためて悲しくなって崩れるエリックの表情が逸品だ。 小さな希望の前に絶望するエリックの心理を特有の描写で卓越に伝える。
クリスティーン役のキム·スは、ミュージカルに初挑戦するソプラノ声楽家だ。 幼い新人の顔と清らかな声がパリに初めて来てプリマドンナを夢見る劇中の役柄とぴったりだ。 バレエダンサーのファン·ヘミンとユン·ジョンイルは驚くほど濃い感性の演技と身振りで客席を一瞬にしてエリックの過去に連れて行く。 彼の深い傷と悲しみの根源を描いた敍事が二人の幻想的な踊りで具現される。
◆「オペラ座の怪人」とは違う美しい音楽·踊り·舞台の三拍子
「ファントム」のエリックは「オペラ座の怪人」に比べてもう少し憐憫を刺激する感性的なキャラクターだ。 エリックの『両親の叙事』がバレエ公演に表現され、幼い頃のエピソードが加わり、強みが極大化した。 昨シーズンに比べて小さくなった仮面も、ファントムの時々刻々と変わる感情をより効果的に表現する。 愛するクリスティーンと一緒にいるときに現れるエリックの半分の顔は、重要な感情の神から客席を一瞬にして没頭させる。
この公演はバレエ、オペラとの結合を越えて舞台芸術の精髄としても知られている。 第1幕の最後に天井から落ちる大型シャンデリア、ファントムの登場、消えに伴う火花の効果、2~3階の高さの様々な舞台装置が見どころだ。 特に2階の舞台でエリックが柱から降りてくる場面はファンタジー的で劇的なファントムの効果を極大化する。 長い手足でロープを伝って滑降するチョンドンソクのビジュアルもまた決して忘れられない「ファントム」の醍醐味だ。
何より母への懐かしさと父に感じる両家的な感情の共感を超えて、エリックが描く純粋で哀切なロマンスは女心を揺り動かすに十分だ。 残酷な過去と傷を抱えて生きてきた彼に光となったクリスティーンのように、世の中が崩れたこの瞬間に深い慰めを与える音楽、たった一つの公演として「ファントム」をお勧めする。 6月27日までシャルロッテシアターで公演。